Counterfeit Goods

模倣品とはどういうものなのか、なぜB-1グランプリで有名になった上位団体の料理名を勝手に使ってはいけないのかなどについて、顧問弁理士・顧問弁護士による監修の元、解説します。

 料理名ではなく「地域料理ブランド」B-1グランプリはまちおこしの取り組みであり、現地に来てもらうことを目的とした活動の一環です。
B-1グランプリを主催する愛Bリーグ加盟団体は、地元に愛される料理や食文化を地域資源として、まちのPR活動行っています。
例えば50~60年以上前から地元で当たり前に食べられていた料理でありながら、地域外にはほとんど知られていない料理は全国各地に数多くあります。
地元に人はその料理が特別なものだとはほとんど思っていないので、そもそもその料理をPRしようなどと考えた人などいませんでした

それが2000年(平成12年)前後から始まった富士宮やきそば学会のまちおこし活動に代表される、ご当地グルメのまちおこしによって、それまでに考えられなかった全く新しい概念の地域PR手法が編み出されました。
地元にもともと当たり前に存在するだけでは、観光客などに対して、集客力があるはずはありません。

ところが、その料理が実は地域性豊かで独特の料理であるということに気づき、地域名を付け、「料理」を「ブランド」化することにより、お客様を呼ぶことができる「地域料理ブランド」に昇華するという手法によって、それまで注目されていなかった地域固有の「日常食」「庶民食」が、集客力のある地域資源化することができるようになったのです。

例えばひるぜん地域の「やきそば」という料理は60年以上前から地元に存在しますが、「ひるぜん焼そば」は、まちおこし団体「ひるぜん焼そば好いとん会」という団体のボランティアによるまちおこし活動によって有名になったものです。
従って「ひるぜん焼そば好いとん会」の活動によって有名になった地域料理ブランド「ひるぜん焼そば」は、「ひるぜん焼そば好いとん会」に無断でその名称を使用して販売することはできません

商標法と不正競争防止法

「ひるぜん焼そばは昔からあったものだ。
商標登録されていないのだから他人にとやかく言われる筋合いはない!」などという事業者がいます。
その事業者が地元で、ひるぜん焼そば好いとん会の活動以前から「焼そば」を販売しており、「ひるぜん焼そば」が有名になった後も「焼そば」として販売しているのであれば、何も言うことはありません。

しかしながら、「ひるぜん焼そば好いとん会」のまちおこし活動の結果、有名になった後に「ひるぜん焼そば」と名乗って無断で販売するのであれば、まちおこし活動に結果に便乗して営利をむさぼる、悪質な店舗であり、企業であると断じざるをえません。
「焼そば」ではそれほど売れないが、「富士宮やきそば」「横手やきそば」「ひるぜん焼そば」と名乗ればそれだけで何倍も売れるからこそ、悪質な事業者はそれを名乗って販売するのです。
商標法の精神は、消費者が「ブランド」に対する安心感や信頼感に基づいて購買行動をとることから、そのブランド価値を高めてきた者以外が、ブランドを利用した販売行為を禁止するものです。

ブランドが保護される理由は、ブランドが価値を持つに至るために努力した者以外が、価値を持ったブランドの果実を得てはいけない、ということを明確に示すことにほかなりません。

ブランドに便乗し不当に利益を得ようとする行為は、ブランド構築に至った者の努力をないがしろにするだけではなく、大きな富を得る可能性があるからこそ、商標権を侵害した個人に対しては10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(商標法第78条)、その個人が所属する法人に対しては3億円以下の罰金(商標法第82条)という厳しい刑事罰が科せられるのです。

本来「地域名」も「料理名」も一般名称であるため、商標の取得はできません。
ところが、「富士宮やきそば」や「十和田バラ焼き」など、「地域名+料理名」は商標を取得しています。
それは例えば「富士宮やきそば」が料理名ではなくブランドとして認知され、それを有名にしたのがまちおこし団体「富士宮やきそば学会」と認定されたからこそ、商標の取得ができたのです。

この事実は、現時点での商標の取得の有無にかかわらず、消費者がその有名になった「地域名を冠した料理」がブランドと認められること(例えばB-1グランプリで有名になったなど)によって、購買可能性が大きく高まる可能性があると判断されれば、まちおこし団体に無断でその料理ブランドを名乗って販売すれば、不正競争防止法によって処罰される可能性があることを意味します。

無断で料理名を名乗って販売する業者は、なぜその名前を利用するのか。その名前を使えば物が売れるからに他なりません。
実際には無関係であるにもかかわらず、ブランドを無断で名乗ることで消費者にあたかもそのブランドと関係があるかのように誤認させる販売行為。すなわちそれこそが不正競争防止法違反に問われる可能性のある根拠なのです。

ちなみに不正競争防止法に違反した個人は5年以下の懲役または500万円以下の罰金(不正競争防止法第21条の2)、その個人が所属する法人は3億円以下の罰金(不正競争防止法第22条)が科されます

B-1グランプリで有名になった「地域料理ブランド」の無断使用に対する厳格な対応

「地域料理ブランド」を守るための法的根拠は上記に示した通りですが、私たちはあくまでまちおこし活動に取り組んでいるのであり、事を荒立てたいとは思っておりません。
勝手にそうした名称を使用してはいけないことをご存じないだけの事業者は少なくないので、無断使用ができないことを指摘して、すぐに是正していただければ、それ以上に求めることはありません。
しかしながら、中には悪意を持って営利活動を行っている事業者がいることも事実であり、そうした事業者に対しては、顧問弁護士と相談しながら、厳格に対処していきます。
B-1グランプリに出展しているまちおこし団体が提供する料理は、地域名を冠した「地域料理ブランド」であり、まちおこし団体に無断で使用することはできません。

無断使用の疑義がある場合は、地域ブランド監理監視機構まで情報をお寄せください。